短夜やわれは夢見る石の夢 先日友人が、写真の6,7㎝の石を「これ、要る?」とよこした。安倍川の鉄丸石だと言うが、些か訝しい。外側を剥いで、磨けばいい物になるというので、後日金づちで少しづつ叩くとボロボロと土のように剥がれ崩れていく。一部に硬い層はあったものの、磨けるような鉱物質ではなく、内部は少し色が違った粘土のようで、あっけなく形をなくしてしまった。これはまだ名石になる前の未熟ものだったかもしれない。 やっぱりなあ、と思ってみていたが、しばらくすると蝶々がそこに飛び降りてきた。イチモンジチョウだ。夢中に土くれを吸っている。ひょっとすると、丸石の中に何百年?も蔵され、熟成した何か古酒のような旨…