「銅吹き」ということばをはじめて聞いたのが、大学3年生のときであった。 邦光史郎「住友王国」という小説を読んだときのことである。 住友家は家業として、1590年より、粗銅から銀を取出すことで、住友の家を発展させてきた。この銅と銀とを分ける技術を銅吹きというそうである。 この家業の祖である、蘇我理右衛門が「南蛮吹き」という製法をまなぶことで、その技術が格段に発達したというのである。 このとき、わたしは、 「へええぇ、銅鉱石には銀がふくまれるのかぁ、 それは中学・高校では習わなかったなぁ」というのが感想であった。 なるほど、銅という金属はその価値が高いのはわかるが、そこから、さらに銀が採れるなら、…