八洲《やしま》もる 国つ御神《みかみ》も こころあらば 飽かぬ別れの 中をことわれ 〜日本をお守りあそばす国つ神もお情けがあるならば 尽きぬ思いで別れなければならない 私たちの仲について、 どうしてなのか訳をお聞かせ下さい 【第10帖 賢木 さかき】 十六日に桂川で斎宮の御禊《みそぎ》の式があった。 常例以上はなやかにそれらの式も行なわれたのである。 長奉送使《ちょうぶそうし》、 その他官庁から参列させる高官も 勢名のある人たちばかりを選んであった。 院が御後援者でいらせられるからである。 出立の日に源氏から 別離の情に堪えがたい心を書いた手紙が来た。 ほかにまた斎《いつき》の宮のお前へといっ…