有機農業に換えれば生物多様性は守られるのか。 二つ目は、地上部の生きものについて考えてみよう。 私は過去30年間、自身の有機栽培の畑のほか、有機農家の田畑を数多く見てきた。慣行農家の田畑も同時に観察してきたので、地上部の生きものの違いはよく分かる。 有機水田の特徴としてクモがとても多いこと、田んぼの上を飛ぶツバメの多いことをまず指摘しよう。初夏の早朝に有機の田んぼを透かし見ると、稲の葉先に朝露に濡れた無数のクモの巣が見える。慣行栽培の稲田では殺虫剤で虫が減ってクモのエサが不足する。そもそもクモ自体が殺虫剤にとても弱い。有機水田にはさまざまな昆虫が繁殖して、それを捕食しようとトンボ(ヤゴ)、カエ…