イーディス・ウォートンについては、昨年末まで、「『エイジ・オブ・イノセンス』で女性として初めてピューリッツァー賞を受けた作家」といった教科書的な知識しか持ち合わせていなかったのだが、小森収『はじめて話すけど…… 小森収インタビュー集』(創元推理文庫2023←『はじめて話すけど…』フリースタイル2002)の文庫版ボーナス・トラックとして収められた北村薫氏へのインタビューで、以下の様なやり取りがなされているのを目にしたことが、まずはウォートンの短篇「ローマ熱」(Roman Fever, 1934)を読んでみる切っ掛けとなったのだった。 北村 イーディス・ウォートンの「ローマ熱」の話をしてもいいです…