津波の避難の標語といえば「津波てんでんこ」。が有名であるが、「津波てんでんこ」が出来るはるか前にも防災に対するとても良い教材があるので紹介をしたい。 それは1937年から10年間、国定国語教科書(国語読本)に掲載された。防災教材として高く評価されている和歌山県で起きた津波の教訓「稲むらに火」。 これは1854年に現在の和歌山県有田郡広川町で起きた実話。 「これはただ事ではない。」そうつぶやきながら五兵衛は家から出て来た。 今の地震は特に激しいというほどのものでもなかったが、長くゆったりとした揺れ方と唸るような地鳴り、五兵衛はこれまで経験したことがない不気味なものであった。 五兵衛は自分の家の庭…