私には二人の息子がいる。 いつか、 「おにいちゃんは、ほんとうはぼくととっくみあいが したいのだろう」 と、弟が言ったことがある。 今朝、その「お兄ちゃん」の方が、 手にぶらぶらさせた靴下で、通りすがりに子犬の鼻面をペシッとはたいた。 「ゥキャン!」 と鳴きつつ、すぐにシッポを振ってついていく子犬。 先の部屋で、ふくみ笑うような声が聞こえる。 唐突に、冒頭に書いた、弟の言葉を思い出した。 重い障がいがある弟、とっても普通には遊べない弟、 言葉をスムーズにかわすこともできない弟、 いつも、母をひとり占めにする、弟。 今、ぴったりと家にいて、何を感じているのか、兄。 近頃、言葉でよく、弟をいじるよ…