コロナ禍のおかげで宅配便業者への関心が高まった。 人が動かなくなったら、物が動かなければならなくなったのだ。 そして、私たちの目に見えてきたのが、配達スタッフの仕事ぶりだった。 そんな宅配便の配達スタッフが元探偵だったら。 そんな設定の連作短編集だった。 宅配便の配達スタッフであれば、私たちのごく日常の場面に現れることができる。 そして、そこに事件があれば。 この作品では殺人事件は起こらない。 もっとささやかな、それでいて当人たちには深刻な問題。 それを見捨てることができず、主人公の探偵はそっと力を貸す。 読後、心に残ったのは、タイトル通りの、夏の爽やかさだった。 雲の上の青い空 (PHP文芸…