『電力改革――エネルギー政策の歴史的大転換』(橘川武郎,講談社,2012年2月20日)を読了。 原発の今後のあり方を論じる際に最も重要な点は,「反対」,「推進」という原理的な二項対立から脱却し,危険性と必要性の両面を冷静に直視して,現実的な解を導くことである。(13 ページ) 2023年,「反対」,「推進」という原理的な二項対立から脱却し,危険性と必要性の両面を冷静に直視して,現実的な解を導けているだろうか。2012年の時点より,少しは前進しているが,二項対立は続いているように思われる。 電力業は公益性の高い産業であるが,わが国の場合には,国営化や公営化の途を選んだ多くのヨーロッパ諸国と異なり…