電気化学

下水道管の腐食原因として，硫化水素から生じた硫酸と言われることがある． 微生物が汚物を分解して，硫化水素（硫黄温泉地のにおい）が発生するのは何となく理解できるが， さらに微生物が硫化水素から硫酸を作ると言われてもピンとこない． 自然に硫酸が作られるというのは，よくよく考えれば怖いことである． 八潮道路陥没では硫化水素が発生しやすかったところに焦点があたっているが， 硫酸が出来やすかったかどうかは注目されていないと思う． 現場を見たわけではないので憶測にすぎないが， 硫酸ができやすい環境に水道管が置かれていたのが真の原因ではないかと考える． 話は変わるがエイリアンの体液は硫酸であり，金属をあっと…

1円玉や１００円玉，５００円が腐食しているのを見たことがないはず． １０円玉はこげ茶に変色（腐食）し，５円玉も少し変色しているはず． 腐食しないのは酸化膜によるものであり，変色も酸化膜によるものである． 酸素が電子を買い取る値段よりも，電子の売値が高い金属(金や白金)を除き， ほとんどの金属は酸素に電子を買い取られ，金属イオンになる（腐食する）． この時，金属上では電子を放出して金属がイオンになる場所と酸素が電子を買い取る場所が離れていてもOKなのだが， 同じ場所で取引を行うことも可能である． 詳細な説明は抜きにして，金属と酸素の電子の売買がその場で行われると，酸化膜ができる． この酸化膜は電…

言葉の意味は，腐食しているときの電位であるが， そもそも電位は電子の売値，買値であり，腐食するときはどちらの電位(値段)で契約成立するのか？ これまた，腐食を理解するうえで謎を呼ぶ単語である． 金属が電子を売って，イオンになることが腐食である． 電子の売値は，市場である溶液によって決まる． 実は，金属がイオンになって溶液に溶け出すと市場(溶液)は汚染されるので 金属が電子をあまり売り飛ばさないように，売値を吊り上げようとする． 腐食が進むほど，金属イオンが溶液を汚染する量が増えるので， 最終的には電子の買値と同じになる． つまり，そもそも電位というものは一定ではなく，市場によって常に変化するも…

■腐食という料理の材料 ・金属 ・水 ・酸素 ■腐食の作り方 ①金属と水を接触させる…水は市場 ②水の中に酸素を溶かす…小さすぎて見えないが酸素の泡が水中に存在している ③酸素が金属にぶつかる…酸素は金属に電子を渡すように脅迫する ④金属は電子を酸素に渡すため，どこかで新しい電子を調達しなくてはならない ⑤金属が水中に溶け出すときに新しい電子が手に入る ⑥新しい電子は金属中をバケツリレーして酸素に献上される ⑦酸素はマイナスイオン(水酸化物イオン)に変化しようとする ⑧同時に金属は溶けてプラスイオンになろうとする ⑨水中のイオンバランスは±０となるので電子の売買取引が成立する ⑩溶けた金属イオ…

「電池」，腐食よりもポピュラーでありながら， その中身をちゃんと理解している人はかなり少ない， 挨拶（こんにちは）に近い言葉に思える． 電気を貯める池と表現されるが，電気って何という具合に 考えれば考えるほど，電池の意味・本質探しの旅がはじまってしまう． 池というよりも，電子を売りたい金属と電子を買いたい金属がいる市場のようなものである． 金属が電子を売る行為をアノード（あの～どうぞと渡す姿で覚える）と呼ぶ． 電子の売値は，その金属と接している溶液(市場)で決まり，電位（電子の位）と呼ぶ． 電子の買い手に電子を送る行為を電流（電子のバケツリレー）と呼ぶ． 金属が電子をバケツリレーする際，バケツ…

電圧＝電位の差と表記され，覚えるしかないという解説がほとんど． もしくは，水を押し出す圧力のようなものと例えれらる． 目に見えるもので事象を理解することが得意な方には理解し難い． 電気化学が難しいと言われてしまう最大の壁である． 電流は電子のバケツリレーで例えたように， このバケツリレーを起こす力が電圧となる訳だが，「圧」ということば紛らわしい． 圧というと何かを押し出す力＝圧力と解釈してしまう． 本来，英語表記では「potential」(潜在能力)であり電圧と和訳されている． バケツリレーはいくらスタート側でたくさん電子を押し入れても 反対側の抜き側が詰まっていたら，渋滞してなかなかリレーが…

腐食の世界では最も頻繁に登場する言葉である． 電位の違いは高い⇔低い，貴⇔卑といった具合に，位(くらい)を感じさせる． 個，本，台，機のような「数」ではなく，目に見えないものだがら解釈が曖昧． 電子を売り買いする時，どれ位の値段で交渉成立するのか？相場のようなものである． ある溶液中に金属が溶けてイオンになる時，電子を放出する（売る）値段が存在する． 溶液は「為替市場」であり，溶液によって値段（相場）が変化する． 例えば，鉄は塩酸のような酸の溶液と，海水中の溶液では電子を放出する値段（電位）は異なる． 良く勘違いされるのが，この値段は金属によって一定のものだと覚えてしまうこと． その勘違いの元…