風の音を聞く (1) 今日も野道を歩く。川辺ではカラスノエンドウが実を結び始めた。ノアザミは薄紫の蕾を整えて明日にでも開花しそうな勢いである。片や、あれほど隆盛を誇ったシロツメクサにはやや衰えの兆しが見え始めたようだ。糸状の白い小花の生え際に、珊瑚のような淡い桃色が浮かんでくると、やがて茎全体が褐色となって今年の活動を終える。するとその横で、もう待ちきれないと言わんばかりに、混じりっ気のない黄色の花が顔を出しているではないか。この花は南北アメリカ大陸原産だそうだ。しかし日本に帰化して「待宵草」という優美な名をいただいた。これから夏の盛りまで、蛍光塗料のような無垢の花びらが道端を照らしてくれるだ…