「新生物」(飛ぶ劇場) 12月6~8日、J:COM北九州芸術劇場 私は他のすべての人や物と異なる一個の人間である。自分の意識のうえでも、他人から見てもそれは変わらない。では私は何ものなのか。私が私であるとはどういうことなのか。私を私たらしめている私の本質とはいったい何なのか。観劇してそんな哲学風の思いに誘われている。 劇中で問われているのは、いわゆる「個体化の原理」「このもの性(ヘクセイタス)」「差異」などといった古代からの哲学的問題を私に連想させるものだった。不勉強を前提として言うのだが、例えば、辞書によると「ヘクセイタス」とは「ある個体を他の個体から区別して『この個体』たらしめている性質」…