握り寿司と三ツ矢サイダー もう30年以上前になる。ガンで闘病していた祖母がとうとう危ないのではないかという時、一時的に体調が回復した日があったそうだ。 何か食べたいものはないかと問う母に、祖母はかすれた声で 「三ツ矢サイダーと握り寿司」と言ったそうだ。 三ツ矢サイダーは常に祖母の家の冷蔵庫に入っていた。夏休み中は、孫たちのためにいつもり多めに。 寿司は祖母の好物で、これも、孫の来る休みの時期には何度も食卓にあがった。 食べたものが体を作る というけれど、 何を誰と何処で、どんな気分で食べたかは心に残る。 祖母は、食欲だけで寿司とサイダーを希望したのではないと思うのです。 祖母が満たそうとしたも…