辺境酒場ぶらり飲み / 藤木TDC, 和泉晴紀 繁華街でも商店街でもない場所にぽつんとあるひなびた酒場。破れた赤提灯、煤けた暖簾、汚れた引き戸。一見客を突き放す閉鎖的な空気を漂わせている。どうしてこんな場所に飲み屋があるのか。場末の酒場にはそんな疑問がわくが、そこには現代史とも密接な関係を持った歴史があり、個性的な店主と常連客の人情が息づいているのだ。場末の酒場には、酒徒の好奇心を満足させる物語がある。日常のしがらみに疲れた人間を癒やす、魂の原風景とは――。 大酒呑みのオレではあるが、殆ど家呑みである。外で呑むときは、相方や友人が一緒の時だけで、一人で呑みに行く、という事が全くない。そもそもオ…