エラリイ・クイーン「フォックス家の殺人」(ハヤカワ・ミステリ文庫) 今でこそ演劇やダンスの批評を中心的なフィールドとしているが、実は大学時代に京大ミステリ研に所属していたこともあり、当初批評的な分析の主たる対象となっていたのはミステリ小説についての考察であった。アガサ・クリスティーについてはすでに大学在学中に論考を機関誌「蒼鴉城」に書き、昨年の非常事態宣言のころにこのブログにも論考*1を再録。さらにクリスティーに続く英国ミステリの潮流としてルース・レンデルやコリン・デクスターの作品分析をホワットダニットという切り口*2、*3、*4から試みてみた。 その試みはそれなりに興味深いことだったが、実は…