親分「おい、お前やれよ」 子分「え? おれがすか?」 親分「いいから、やれよ」 子分「じゃあ……」 親分「ばかやろう、何やってんだお前」 北野武はヤラセの人である。いわゆる、ビートたけしとたけし軍団のコントは、親分が子分にわざと馬鹿馬鹿しいことをやらせて、そのあまりにもくだらないギャグを、やらせておきながら「ばかやろう」とボケて突っ込むのである。北野は『御法度』(1999)でさえ土方歳三を演じた際も、「おまえ、やってこい」と山崎丞(トミーズ雅)に女をあてがうようにやらせる役を引き受けているが。『首』(2023)における羽柴秀吉も当然やらせの人として描写される。「なんで急に草履なんか渡すんだよ」…