朝方降っていた雨もあがり、夜空に月が綺麗です。 久しぶりに家で一人「江口」を謡ってみたり。 以下は以前に書いたもの。年の瀬に着物を着ていると祖母を思い出します。 「新年の着物」 私が小さい頃、新年の家族の着物の準備は祖母の仕事だった。 それはお節料理が出来上がって、板のようになって届いた大きなのし餅も切り終わり、そろそろ一年も終わるという夜。 ぼうっと光る電灯の下で祖母は沢山の着物を出してきてアイロンをかけ、半襟をきれいに付けてから、それぞれ明日履く足袋がきれいに洗ってあるかを確かめていた。 一月一日はいつも寒かった。朝早くから祖母に連れられて二階に上がり、白い息を吐きながら足袋を履く。のろの…