狩野亨吉は、夏目漱石の親友で、東京大学出身、第一高等学校校長、京都帝国大学文科大学学長をつとめました。 学識豊富で、多くの人材を育成しながら、生前に公開された著作については、安藤昌益の「発見」や、偽書の排撃など数えるばかりで、その浩瀚なる学識に比べてきわめて寡作でした。正真正銘の自由自在な「知の巨人」(最近やや使い古された表現ですが)だったといえましょう。 漢学者の家に生まれ、東京大学では数学科をまず修め、文学科に進み、国宝となる書物を蔵書とし十万巻の書物を渉猟したその文章は、本当によんでいて「痺れる」ものがあります。 2015年には、一高の「跡地」の東京大学駒場キャンパスの駒場博物館で、生誕…