〈三条の教憲〉と教部省 啓蒙の時代と戯作 新聞と〈つづき物〉 高橋お伝の略歴 前回、『鳥追阿松』について書いた。これはもう、誰も読むひとがないだろうと思ったら、案外そうでもない。どこの誰が読んでいるんだろうと思えば興味は尽きないが、話も尽きないので続きを書く。*1 今のところ、硯友社から少し先までの本をひっくり返してながめているが、近代文学らしきは明治も30年くらいまで俟たないと出てこない。変化という点に着目するなら、そこからは大した変化がない。殆どそのまま今に至っているとも言える。 この時代、明治初年の戯作について見なければならないのは、〈三条の教憲〉を経て、崩壊寸前になった戯作が〈新聞〉と…