日本は、つねに中国を意識してきた。とくに、明治維新以後、中国研究はきわめて深く、幅広いものとなり、東洋史という歴史分野を生み出した。、「日本人の中国観」の形成と変遷を跡づけると同時に、日中関係を考え直す契機となるのが本書である。石橋湛山の「小日本主義」とはなんだったのか。巨人・内藤湖南の「唐宋変革論」とは? 宮崎市定や谷川道雄など、数多くの論者の中国論にふれ、その歴史を読み直す。 良書である。タメになった。 何より収穫だったのが、第2章に詳しい、忘れ去られた歴史家・矢野仁一である。 満洲国建国に深くかかわり、その反動もあって戦後は倉敷に籠もり、日本人から忘れ去られていったと。だが、そんな矢野が…