昨日初めて『君の名は。』を観た。この作品はハッピーエンドではない。ラストで二人が出会った場所はたぶん彼岸だった。そのように解釈したのは、二つの違和感からである。①みんなが助かり、二人が最後に出会えるという新海らしからぬご都合主義的展開。僕の知る限りの新海の作品は、理想に焦がれつつも現実には達成されない不可能性の周りをうろうろし、反芻するものだった。そのような過去の作品との落差がありすぎる。②何故瀧は御神体からタダで帰ってこれたのか。半身を置いていかねば帰れないはずの場所に瀧は行ったはずなのに、何故何も失わずに帰ってこれたのか。あるいは、瀧が何を捧げたのならそれは何か。 ②について、瀧が失ったの…