本書で人種主義としているのはレイシズム(racism)の日本語訳。この言葉が使われるようになったのは19世紀末からだが、差別の意味をもつraceは古くから使われてきた。「人種」は存在しないが、差別目的の人種主義が人種をつくってきた。それぞれの時代の思想や制度や科学に支えられてきた。 第1章 「他者」との遭遇―アメリカ世界からアフリカへ ・・・ アフリカ黒人を奴隷とするのは中世からあったが、世界的になった転換点が1492年。このあと南米の先住民を強制労働・奴隷労働を強いた。大量死があったので(奴隷労働のほか、疾病、アルコール、銃火器など)、アフリカの黒人を奴隷にする「輸出入」がビジネスになる。こ…