壺中の天国 (角川文庫 く 19-1)作者:倉知 淳KADOKAWAAmazon梶井基次郎の名作をパクったような書き振りになるが、ぼくはいまなお自分の中に「えたいのしれぬ」空虚が存在するように感じることがある。喪黒福造的に言えば「心のスキマ」で苦しんでいるというか。今朝、時間があったのでまた本を読もうかと思ってしかし身が入らず、結局このことについてあれこれ思いにふけってしまった。もうご存知のとおり、ぼくは10代に村上春樹と出会ってからたくさん本を読んできた(いや、正確に言えば酒に溺れて読書どころではなく文字通り「生ける屍」だった時期もあったのだが――その時期はもう「来世に期待しよう」「未来なん…