「天賦の才」 【カワサキ 650-W1S(ダブワン)】バイク編⑧ 何と言っても、キャブトンマフラーから放たれる重厚な排気音が圧巻だった。 だが特段速くはないし、ギアチェンジとブレーキペダルは左右逆だし、デザインも古いしと、若いライダーが飛びつく要素はなかった。 ところが、それは個人的な決めつけだったらしい。唐突に、仲間のNが中古のW1を手に入れたのだ。二週間前まで乗っていた、新車で買ったホンダの250ccを手放して。 この頃、周りが競って大排気量車に乗り換え始めた時期だったが、それにしても本人のキャラクターとはギャップがあった。Nは根っからの軟派で、新し物好き。服から持ち物に至るまで、女子受け…