チャイコフスキーの名曲「1812年」序曲は、1880年に作曲されました。 産業博覧会という国家イベント用のテーマソングだったわけですが、帝政ロシア時代の愛国心発揚のために、ロシア帝国国歌が挿入され、仏蘭西国歌 La Marseillaiseとの主題との相克と空砲を楽器とすることによって戦争を描写しています。 ソ連時代においては、このロシア帝国国歌の部分は削除されて演奏されていました。私もその当時のスヴェトラノフ指揮の音盤を中高生のころはきいていたものです。芸術家にとっては、作品の一部が政治的目的で削除されるというのは、まったく受難です。 ソ連崩壊とともに、この国歌の下りはロシア本国の演奏でも復…