19世紀イタリアを代表する作家アレッサンドロ・マンゾーニの『いいなづけ』(平川祐弘氏訳、河出文庫、2006年)を読んだ。スペインに支配されていた17世紀のミラノ公国(当翻訳ではミラーノと表記されている)の田舎町レッコに住む若い男女が結婚し家庭を築くまでのさまざまな困難を描いた小説だ。19世紀にイタリア統一運動が高揚するなかでマンゾーニおよび『いいなづけ』の名声は高まり、1860年にイタリア王国が成立すると、マンゾーニは上院議員に選ばれている。またその死を悼んで、ヴェルディは有名な『レクィエム』を作曲した。この作品、日本ではあまり知られているように思えないが、イタリアでは、ダンテの『神曲』となら…