地下鉄サリン事件を知らない人のため書いておくと、1995年3月20日、オウム真理教というカルト団体によって、東京の地下鉄車内に毒ガスのサリンが撒かれ、多くの死傷者を出した。あのとき死者が奇跡的に少なかったのは、松本サリン事件を経験したていた医師が、地下鉄サリン事件のTV中継をたまたま見ていて機転を利かせたからだった。そうでなければあの程度の被害で済むはずがなかった。 この映画の監督のさかはらあつしは、この事件の直接の被害者で、今でも後遺症に苦しめられている。オウム真理教の後継団体アレフの広報部長の荒木浩は、この映画で見るかぎり、さかはらあつしと年も一歳違い、出身大学も同じく京都大学、そして出身…