春の終わり。花びらは地に還り、空は岩手山をそっと包み込んでいた。 ゴールデンウィークの東北旅で、紹介しそびれていた風景があります。それが、岩手県・雫石町にある「小岩井の一本桜」。 広大な牧草地のなか、ぽつんと立つ一本の桜。背後には雄大な岩手山――…のはずが、訪れた日は山頂が雲に隠れ、桜の花びらもすでに多くが散っていました。 けれどその静けさの中に、春の名残りがふんわりと漂っていて、「満開じゃなくても、心に残る景色ってあるんだな」と思わせてくれる場所でした。