先週だったかもっと前か、夕焼けが特別赤くてきれいな日があった。夕暮れ時の電車に揺られていて文庫本から目を上げると、黄色っぽくて弱々しい光が車窓から斜めに差し込んでいて、ハムのごとき秋の夕日はぴらぴらと電車の窓にスライスされる(杉﨑恒夫)まさにそんな感じだった。今は帰る時間にはもう真っ暗で、車窓からは、ビルに灯るたくさんの明かりが見える。今日も疲れたのでスーパーでパック寿司を買って帰る。近くの小さな書店をちょこっと覗くと、文庫新刊コーナーに吉田修一『素晴らしき世界〜もう一度旅へ』(集英社文庫)が並んでいた。 15年にわたり続いたANA機内誌「翼の王国」連載の人気エッセイ堂々の完結とのことだ。終わ…