Armor Piercing Fin Stabilized Discarding Sabot、装弾筒付翼安定徹甲弾。
APDSを更に改良したもので、安定翼の装備によりAPDSに見られた直径に対する長さの限界値をクリアした。これによりL/D比30前後まで絞って弾芯を細く軽くすることができ、APDS以上の高初速を得ている。
初速の高さはAPFSDSにこれまでの徹甲弾にない利点をもたらした。
金属は非常に高速(タングステン弾=鋼鉄装甲で1200m/s以上とされる)で衝突すると流体であるかのように振る舞う(この特性をウゴニオ弾性限と呼ぶ)ので、弾体と装甲が相互侵食を引き起こし、細い弾体にも関わらず装甲を大きく抉ることになる(塑性変形:粘土同士を衝突させたところを想像されたい)。
また、上記特性から浅い角度での弾着でも弾かれることはなく、更には面に対し垂直方向に向きを変えて侵徹するため、一昔前までの常識であった傾斜装甲*1がまったく通用しない。
安定翼により横風の影響を受け易くなり、強風下では射撃精度が著しく低下する。
また、着弾時の速度が低下するとウゴニオ弾性限による塑性変形が発生しなくなるため、貫徹力は著しく低下する。
*1:見かけ上の装甲厚増加と避弾経始による防御効果が望めるため、第二次大戦中期から積極的に利用された