ジャズを本格的に好きになったのは30代後半のことでした。泣きそうになりながら1人深夜残業している時、どうせ誰もいないからとiPodをスピーカーに繋いで、図書館で借りたばかりのマイルス・デイビスの“So What“のイントロ最後の深く広がるシンバルの音を聴いたのが運の尽きです。目の前に、山奥の濃い霞に包まれた湖と、湖面に投げ込んだ石が同心円状に静かにいつまでも波紋を広げ続ける様がビジュアルとして浮かんで、「そういうことか」とどこか悟りを開いたような、大袈裟かもしれませんが、その時は大きな枠としての「ジャズ」を理解したような気がして大興奮したものです。今思えばジャズを理解するなんていう放漫な態度に…