列車が追突や衝突事故を起こさないようにするためのいわば「安全装置」。
鉄道用語では「保安装置」と呼ばれる。
正式には「パターン制御式速度照査機能付きATS」。
従来のATS-S(ATS-SN,ST,SWなど)では停止信号(赤信号)を越えるとすぐに非常ブレーキがかかるようになっているが、高速で赤信号を冒進した場合は制動距離が長くなり追突する恐れがある。
それに対しATS-Pでは、各列車に「速度パターン」と呼ばれる、ブレーキをかけ始めたときの速度と制動距離の関係を記憶させておき、地上子からは停止信号までの距離を列車に伝える(もちろん従来のように即非常ブレーキを作動させる機能も残っている)。走行中に速度パターンを越えた場合、自動的に常用最大ブレーキをかける。このため停止信号まで確実に列車を停車させることができるほか、万が一赤信号を無視した場合でもオーバーラン距離を非常に短くできる。 これにより列車間隔を詰めることができるほか、ブレーキの利きの良し悪しにかかわらず列車ごとに適切なブレーキをかけることができる。
また、この原理を利用してカーブに対しても速度超過しないよう自動的にブレーキをかけることができる。
ATC並の安全性を持つので、首都圏のほとんどのJR線や、山形新幹線・秋田新幹線などで導入されている。変わったところでは相模鉄道にも。
JR東日本とJR西日本のATS-Pは、仕様が若干違うため、JR貨物の電気機関車、特に走行距離が長い車両*1にはJR西日本とJR東日本のATS-Pに対応したATS-PFを搭載している。
*1:EF65,EF66,EF81,EF200,EF210,EH200,EF510,EH500