「楽しく生きちゃダメなのかなぁ…」あの手紙の言葉の主が僕の腕の中にいる。どんな不都合な現実がこういう言葉を言わせてしまっているんだろうとあの瞬間思ったんだ。 良いに決まってるだろ たった一度だけ受け取った君からの手紙、ありきたりの言葉なのに頭の片隅から離れなかった。もう、あれから5年が過ぎようとしているのに君はいまいちあの言葉から抜けきれていないようだった。 ファンからの手紙は減って来たとはいえそこそこある。スキャンダル前だったあの頃はバンドの全盛期が山場を超えたはずなのに、それでもすんなり読み切れる量ではなかった。 大抵のファンレターは僕たちのバンド活動を好意的に捉えてくれているものばかりだ…