海を受け取る私たちへのメッセージ『海をあげる』(上間陽子著/筑摩書房) 2020年11月半ばの土曜日に「今日はゆっくり本が読めるな」と、少し前に上間陽子さんが書かれたノンフィクション『裸足で逃げる沖縄の夜の街の少女たち』を読んでいたけれど、それとは違うホッとするような安らげる本、くらいの気持ちでエッセイ集『海をあげる』を読み始めた。しかしすぐに「これは凪ないだ海の話じゃないんだ」と気づいた。読むのにこんなにエネルギーを必要とする本だったとは。せめてもの救いは自宅で読み始めたこと。私は最初から最後まで号泣し、読み終わったときにはへとへとだった。へとへとな自分に「この海をひとりで抱えることはもうで…