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DXCC

(一般)
でぃーえくすしーしー

DXCC - DX Century Club

米国アマチュア無線連盟(ARRL)が、1937年に制定した表彰制度(DXCCの「DX」は、無線界の略語で「遠距離の」または「遠距離通信」を指す)。

ARRLは、世界の国と地域を、政治的、また、地理的条件によって335(2006.04.01現在)のカントリー(正式にはエンティティ)に分け、その全カントリーのうち100個所から電波を発するアマチュア無線局と交信した人間だけに入会を認める、というクラブを立ち上げた。そのクラブが、DXCCだ。

100/335。このハードルを越えること、つまり、DXCC会員になることは、裸電球1個程度の電力をつかった設備でも簡単だ。しかし、より多くの、究極的には「すべてのカントリー」と交信するためには、大げさではなく、相当な覚悟が必要となる、マジな話。

DXCCのカントリーに、無線人口の多寡は無関係。日本やアメリカのように石を投げればハムに当たる国もあれば、ハムはおろか、人間が定住していない半径数メートルの岩礁もある。このプログラム上では、両者は完全に対等の地位を得る。想像してみてほしい。要は、需要と供給のバランスの話だ。もし、あなたが命がけで荒波を越えてそのような岩の上に立ち、アンテナを立て、無線機を設置し、発電機を回して首尾よく電波を発射したとしよう。どんなことが起こるか。ドッグパイル、犬の山が出現する。生肉を飢えた野良犬の群れに投げ込めば犬の山が出来上がるように、たちまち世界中のハムが団子状態になってあなたを呼んでくることになる。なにしろ彼らにとっては、いかに多くのカントリーと交信するかが唯一絶対の目標なのだから、その夢が実現できるかどうかは、言い換えれば、どの犬の願いをかなえてあげるかどうかはひとえに、あなたの思い一つにかかっている。まさに、世界を支配しているかのような気分になれるはずだ。

残念ながら日本でアマチュア無線を運用する限り、需給関係から言って、そのような経験をすることは100%ない。しかし、「呼ぶ側」としてこのバカ騒ぎに参加するのは簡単だ。とりあえず、簡単な国家試験を受けて、第4級アマチュア無線技士(4アマ)の免許を得る。あとは、金にものを言わせて、より巨大なアンテナをより高いところに上げ、より大きな電力をつかってより強力な電波を発射すればよい。そうすれば、ドッグパイルのてっぺんにのぼり、早い段階で拾い上げてもらうことが期待できる。4アマに許されている最大電力が20ワットだからと言って、排気量に応じて自動車のナンバープレートの番号が変わるようなシステムはないからバレる心配はまずないし、地方の放送局程度の設備なら電話一本で即購入・設置できる。機材の操作は簡単。小学生にでも動かせるから心配ない。

外国語ができないことを心配する必要もない。英語で覚えておくべきは、自分のコールサイン(呼出符号)、「59=ファイブナイン=無線用語で「よく聞こえてるよ」の意)」と「サンキュー」の3つだけだ。幼稚園児にだって覚えられる。そもそも会話など必要ない。左記の3つを使って、交信したという事実だけを構築すれば、それ以上のコミュニケーションは百害あって一利なし。そのようなドッグパイルにあって世間話に花を咲かせようものなら、たちまち妨害電波の餌食になるだけだ。

さ、血のにじむ努力が実り、DXCCも残すところ9カントリーになった。ゴルフで言えばシングルプレーヤーだろうか。その時点であなたは、「オナーロール」という特別の称号を得る権利を得たことになる。おめでとう。さらに、全カントリーを制覇すれば、文字通り「ナンバーワン」の勲章まで手に入る。会社や家庭では誰にも相手にされないお父さんも、DXCCの世界でなら英雄になれる。すばらしきかなDXCC。すばらしきかなアマチュア無線。たしかに、キング・オブ・ホビーだ!

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