ヒール教の二人 「おねがいだ」 オースとラリアは、それぞれの心臓の前で両手をがっしり組んでいる。 二人とも目をつぶっていて、部屋の空気はピーンと張りつめている。 「おねがいだ。どうか、どうか」 彼らはヒール教に属している。 ヒール教とは、 「ヒールを神として、ヒールの吐く言葉は絶対であり、破られざるものである。宗徒を、『履く者(はくもの)』と呼び、履く者は、いかなる場合でもヒールを履いてはいけない。ヒールの前で、虚言を吐いてもいけない。」 という宗教である。 ヒール教には、その道を極めるための修行,「ヒール旅」というものがある。 その内容は、次のようである。 「ヒール旅」 ・南の町「レズツク」…