〜ある手しごと人と、やさしい折り鶴のものがたり〜 近くて遠い、遠くて近い…藍の里という、山と風のあいだに抱かれた小さな里があります。 その里には、木の葉に隠れるようにして、「願いの道(ねがいのみち)」とよばれる細い小道がのびています。 その道の先には――しずかに湧きつづける泉がひとつ、ぽつんとたたずんでいるのです。 だれが呼んだか、その泉は「藍の泉(あいのいずみ)」。 ふしぎなことに、その泉のことは、この里でも、ほんの一握りの者しか知りません。 ある手しごと人と、折り鶴たち この里のすみっこに、ある手しごと人が暮らしていました。 その人は、誰かの「ありがとう」や「そばにいるよ」といったやさしい…