春の日差しを感じはじめた頃、フレッドはいつものように託児所の庭で、仲間たちとフットボール[サッカー]で遊んでいた。こぼれたボールを追いかけて行くと、建物の裏に人影があることに気付いた。 フレッドは仲間に向けてボールをシュートして返すと、そっと人影に近付いて見た。そこには一人の少女がしゃがみ込み、土手に向かって必死に手を伸ばしている姿があった。フレッドも背後から土手を見下ろすと、薄汚れたぬいぐるみが落ちているのが目に入り、少女に声をかけた。 「あれ、君の?」 少女はビクッとして振り向きフレッドを見上げ、唇をぎゅっと結んだまま黙り込んでしまった。フレッドは枝を掴んで身体を伸ばし、ぬいぐるみを拾い上…