「お嬢様。こちらの鉱材はレッドに渡しておけばよろしいので?」 うららかな昼下がり。なんとはなしに始めた「倉庫」整理の最中、エースが語り掛けてくる。 こくりと頷いてそれに返すと、彼は瞳を細めて笑みを浮かべ、同じように頷いてくれた。 常に冷静で、穏やかなエース。まるで「王子様」のような振る舞いに、心の中でこっそりとそんなあだ名をつけてもいた。 「レッド。これもお前の倉庫に入れておけ」 しかし、なんだ。自分以外に対する接し方にはいささか問題があるようにも思える。 「はあ!? お前それ、俺様に向かって言ってんのかっ!」 案の定だ。 エースのぞんざいな扱いに、まるで「シャーッ!」という威嚇声が聴こえでも…