3.480年代や90年代、評論家や文化人が、公開中映画を批評するコラムや、自選映画ベスト10などの特集は、映画情報誌だけでなく、さまざまなメディア系ファッション系雑誌に組まれていた。映画の情報を、紙の媒体から得ていた時代──の話である。 田舎の高校生だったわたしは、それらを感心しながら読んだものだが、大人になるにつれ、評論家の権威主義に嫌気してきた。むかしは映画評論家なる職業があったのだ。淀川さんや水野さんなど、ひとにぎりのテレビ解説者を除けば、御用記者か学閥系だった。いま紙の映画情報誌があるとすれば、そこにしがみついているのはその流れを汲む権威主義者だけだ。ゆめゆめそんな連中の映画批評を信用…