Good Standing とは、ごく一般的な英語としては、「高い評価」「良好」といった意味がある。
しかし、米国の法人登記のシステムのなかでは、極めて独特の意味をもつ言葉となっている。
日本では、法人を一度登記すると登記簿に掲載されて、その状態がどうであろうとあまり関係なく法人を存続させることが容易にできる。一方、米国での法人登記は異なるシステムになっている。米国では、法人の設立や、毎年の年次報告書を提出と手数料の納付、という行為によってファイリングが行われ、そういうものが着実に積み上がることで、その法人が設立されたことやその存続が示されていると考える。行政当局は、そういった一連の流れを認めるものとして、証明書を発行する。米国が自治権の強い州の連合体である連邦国家である性質を反映して、その詳細は州ごとに異なるが、その証明書を "Certificate of Good Standing" と呼んでいる州が多く存在する。ここでの "Good Standing"は、法人の登記手続きがきちんと行われて続けている、という以上の意味をもたない。したがって、日本語では、その意味を反映して、「会社設立証明書」あるいは「会社存続証明書」と訳すのが一般的である。
ところが、最初に述べたように、ごく一般的な用語としての Good Standing は、「高い評価」「良好」といった意味をもつ。ここに、詐欺的な商売を企む人々が付け込む余地が存在してしまっている。例えば、ディプロマミルとして知られている Clayton University について、かつて存在した日本校で、これを「良好」と翻訳して Certificate of Good Standing の写真を掲示していたことがあり、小島茂によって追及された後に撤回した、という事件があった。最近では、イオンド大学が、ハワイ州政府当局から「”Good Standing”(優良校)という高い評価を得て設立された」として、はてなキーワードの文面とするように求めている。ただし、ハワイ州法の非認定教育機関に対する規制が存在するからか、自らのサイトにこのような文面を掲げているには至っていない。