林直樹,齋藤晋編著『撤退の農村計画』(2010、学芸出版社)の続編だが、前著とはかなり力点が異なる。改めて前著への書評をネット上でいくつか見たが[1][2][3]、意外と好意的な書評が多い。すべての限界集落の維持は非現実的という指摘への反論は書評としては皆無に近かった。限界集落に住み続ける人への配慮欠如、行政への具体的な助言、合理化を進める政府に向いた書籍などの批判に丁寧に応えようとした形跡がうかがえる。 新著は撤退と再興を並立した選択肢とする趣旨ではなく、「撤退しても再興できる」ことを説く。また、それはあくまで選択肢の一つであり、活性化も含めた様々な限界集落の生き残り策を論じている。特に、定…