宇宙というとき私たちは、宇宙の中にふわふわ浮かんでいるボールのようなものをイメージしているだろう。しかし宇宙というのはそんなものではない。ではどういうものが宇宙のイメージか? 宇宙は私たちが地球儀みたいに視覚像を持てるようなものではない。視覚像とはそれに似たものによって代用することであって、宇宙は他の何とも似ていないのだから、宇宙をイメージできる像はない。つまり、宇宙について考えるということは、視覚像が拒絶されるということを経験することでもある。 人間は視覚によって把えることができるけれど、人間の一生は視覚によって把えることも視覚によって代用可能なイメージを作ることもできない。しかし私たちは人…