書店で本を買い求めるとき、「ジャケ買い」ならぬ「表紙買い」するのは、本読みとしての密かな楽しみである。前情報に踊らされず、パッとその場のインスピレーションで本を買う。結果として外れを引く経験を何度もしたが、不思議なもので慣れてくると自分に適した本というのが外観から分かるようになる。 「なめからな社会とその敵」は、少し前に私が地元の書店で眼にした本だ。海面と空のコントラストが印象的で、タイトルの「なめらか」とは異質なイメージでありながら、色や均一性にどことなく共通項を抱えるところが面白い。見たところによると、哲学書チックな香りがぷんぷんとする。こういう本を買って、本棚の肥やしにしてしまうことが多…