モリッシーのスミス解散後のキャリアは、一言でいえばジョニー・マーへの未練をかたちにしていくことだった。 モリッシーという異形の存在が初めて手にしたパートナーであり、生身の理解者であったマーを失ったことは、彼にとって取り返しのつかない損失となった。 片翼をもがれて飛べなくなった自分は、この先どうすればいいのか? そうなった時にモリッシーは、新たな伴侶を探すのではなく、失った存在への思いを作品に昇華していくという道を選んだ、それも繰り返し執拗に。 そんなモリッシーのソロキャリアの中で燦然と輝く名盤は、94年発表の「Vauxhall and I」で間違いない。 これほどまでにマーへの思慕をありとあら…