フランツ・ディデリック・ボエ(Frants Diderik Bøe)「白夜の海鳥」。ウィキメディア・コモンズより。 人生は一つの病院で、全患者が病床を交換することばかり考えている。暖炉の前で苦しみたいと願う者もいれば、窓辺で治るはずだと信ずる者もいる。俺も自分が不在の場所でこそ、常に元気でいられるような気がしている。引っ越しは、俺がわが魂と絶えず議論を交わしている一つの問題である。「教えておくれ、俺の凍えた魂よ。リスボンに移り住んではどうだろう。あそこは温暖に違いないから、お前も蜥蜴(とかげ)のごとく息を吹き返すことだろう。あの街は水辺にある。聞いた話では、それは大理石で造られた街で、住民はあ…