モーリッツ・レッチュ「チェスを指すファウストとメフィストフェレス」ウィキメディア・コモンズより。 昨日、大通りの人混みの中を歩いていて、僕はふと、かねてよりお近づきになりたいと思っていたある謎の人物とすれ違ったことに気がついた。彼に会ったことはなかったが、彼であることはすぐにわかった。どうやら先方も同じ心持ちだったようで、彼は通りすがりに、僕に意味ありげな目配せをして、僕はただちにそれに従った。僕は彼の後にぴったりとついていった。階段を下りて間もなく、僕は目も眩(くら)むがごとき地下の空間へと通され、そこではパリのいかなるセレブの豪邸といえども比ではない、そんな豪華絢爛が光り輝いていた。僕はこ…