デビュー作『Fleet Foxes』や続く『Helplessness Blues』のキーワードだった寓話性や清貧さ、それらはすっかり後退している。代わりに前面に出ているのは、ソングライターとしてのロビン・ペックノールドのルーツである60~70年代のシンフォニックなポップ・ミュージックとその作家たちへの果てしない愛情と敬意だろう。インタビューでも言及している通り、これまで意図的に避けられてきた具体的な引用がリリックのあちこちに埋め込まれている。 前作『Crack-Up』は6年間もの沈黙を破った作品であり、概ね好評をもって迎えられたわけだが、本人の言葉を借りれば「求めたよりも曖昧」だったことも確か…