「見えるものと見えないものの間で、それが拮抗しあって束縛するから」 「絶望的に抽象的だね」 「フフッ。そうね」 少し早めに会話を終えて散歩に出かけた。買った洋服が邪魔だったので着てきた洋服を捨てて買った洋服に着替えた。顔を捻ると年配の女性がベンチに座っていた。買い物帰りかな。俺と同じじゃん。ヴァイナル袋を横に置いて向かい側の神社の入り口脇に。なだらかな坂道を女性は下り始める。 ベンチに座ってたばあさんじゃない、可愛いかなと思ってまず足元を見るのは自分好みのスニーカーかブーツを履いていた場合、おかずになるから絶対そういうものは念写しておくのが鉄則で、でも間に合わなくてその後姿を自分は見守った。銀…