その日、アラム王の武装は軽装だった。 周囲の兵士たちと然して変わらず、ごく普通の戦車に乗っていた。いつもはまがまがしく王の周りを取り囲むべき親衛隊の姿も目に入らなかった。 目指すはアハブ王のみだ!!他の小者には構うな」それが敵陣を探ってきたスパイから聞いた言葉だった。敵の目を欺く。ただそれだけのために、ヨシャパテ王に立派な王服を着てもらい、自分は質素な服を着て戦場に出ていたのでした。いつもとは違う身軽な服装に、つい隊から飛び出して、気づけば回りは敵だらけ。「やばい! 引き返そう!!」心の中でそう思ったとき、 胸に強い衝撃を受けた。目の前に突き出しているのは敵の矢ではないか!何だ、何でわしの、こ…